つれづれおきば。

筆名「わらび」の一次創作置き場。SSだったり短歌だったり。

【Twitter300字SS】彼女に捧げる御饌

Twitter300字SS第47回お題「食べる」より。

https://twitter.com/Tw300ss/status/1046006698404589569

本文はつづきより。

 

 

【彼女に捧げる御饌】

 

 彼女が突然何も食べなくなった。

 好物は勿論、飲み物すら口にせず、日に日に白く細くなる幼馴染みの彼女。

 まさかと思い、俺は祖父が遺してくれた秘伝の古文書を確認した。

 やはり。

 俺は即座に食材集めに奔走した。

 黄金に輝く稲穂。金木犀の香りを纏った酒。紅葉燃える温泉郷で取れる山塩。そして、秋の月の光を浴びた水。

 全てを揃え精製し、白い器に盛りつけ、俺はようやく彼女に会いに行った。

 俺が抱えていた物で全てを察したのだろう。彼女はそれら全てをそっと一口ずつ口にした後。

「ありがとう」

 たった一言。それが彼女の最期の言葉だった。

 今はもう白く棚引く煙になった彼女。

 ああ君は。古文書にあった通り、十月に還る神様に選ばれたんだな。

 

【三百字 改行・スペース含めず】

 

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「食べる」がお題なのに食べないことから始まる現代ファンタジー、みたいな?

御饌は「みけ」と読んでくだされば。

神様に供える食べ物のことですね。

だから、彼が集めた食材も、米、酒、塩、水と神棚にお供えする物となっています。

それに少しばかり秋色を出しました。

金木犀のお酒も温泉郷で取れる山塩も、一応実在します。

 

書ききれませんでしたが、彼は現代生活をしつつ、古代の呪いや薬の製法などを扱う裏の仕事もやってる感じです。

 

完全に趣味に走った作品になりましたが(やっぱり死人が出る)最後までお読みくださって、ありがとうございました。